ほとんどの神社には、社殿にも負けない存在感を放つ「御神木」がありますが、どうして御神体だけでなく樹木も祀られているのか、気になったことはあるでしょうか?
「鶏が先か、卵が先か」問題に似ていますが、「神社を建てた場所にあった立派な木を御神木として祀ることになった」のか、それとも「御神木があった場所に神社を建てた」のか。自然崇拝の信仰が強かった昔の人々のことを考えてみると答えが見えてくるかもしれません。
今回はそんな「御神木」について紹介します。
御神木は「神籬(ひもろぎ)」としての役割を持つ木々や森のことを指します。神籬とは、神道において神社や神棚以外の場所で祭祀を行う場所のことで、神を迎えるための依り代となるもののことを指します。
神道の教えでは、全ての木々が御神木となり得ますが、特に樹齢が長い木々や、神社にある大きくて立派な木々、神域されている場所に立つ木々などが、神の依り代として見られることが多く、御神木として神聖視されます。
日本には、古神道の一部に「神籬・磐座(いわくら)信仰」という自然崇拝があり、神や自然に対する感謝や畏怖、畏敬から自然にある象徴的な木々や岩などをご神体としていました。
日本にある神社は、この古神道における神籬があった場所に建立されたところが多く、そのことからほとんどの神社には御神木や磐座(岩)が存在し祀られているのです。神社があるところに御神木があったのではなく、御神木があるところに神社が建てられた、という訳です。
神社によっては社を持たず、御神木をそのまま御神体として祀っているようなところもあります。また、神社がなくても自然のままにある木が御神木として信仰されているような場所もあります。
神社によって御神木を柵で囲い、触れられないようにしているところもありますが、もし触れることができる御神木がある神社へ訪れた際は、木に傷がつかないように注意する必要があります。
傷がついてしまうと腐食の原因となり得ます。御神木は樹齢が長いものが多く、中が空洞になっている可能性があり、腐食が進んでしまうと倒木してしまう恐れもあるので、十分に注意しましょう。
今回は御神木のことについて紹介しました。
パワースポットになることも多い御神木は、その神社で祀られている神様の依り代となる神聖なものです。近づけばそのエネルギーを肌で感じ取れるのではないでしょうか?接し方には十分注意して、神社本殿への参拝と同じように、神様への畏敬の念と感謝を伝えましょう。