神社や寺院へいくと参道の脇で必ず見かけるのが手水舎ですよね。
今回は手水舎の読み方や作法の手順、そしてコロナ禍で話題となった「花手水」について紹介します。
そもそも手水舎の読み方がわからないという方もいらっしゃると思います。実は読み方は様々であり、神社本庁は「てみずや」としていますが、他にも「てみずしゃ」や「ちょうずや」、「ちょうずしゃ」と呼ばれることもあります。
神社や寺院において、参拝前に手や口を清める水を「手水」と呼び、それを行う場所を「手水舎」と呼びます。大抵は、神社や寺院の参道の脇に設置されています。
多くの手水舎は、四方吹き放しとなっていて、その中に水盤が据え付けられています。柄杓(ひしゃく)が置いてあるので、それを使用して手水を汲みお清めをします。
次に手水舎でお清めをする際の手順をご紹介します。
※以下の一連の流れは全て柄杓一杯分での水で行います。
まずは手水舎の前で一礼します。
右手に柄杓を持ち、お水を汲んで左手に水をかけて洗い流します。
柄杓を左手に持ちかえ、同じように右手を洗い流します。
その後は柄杓を右手に持ちかえます。
左手に少量の水を溜めて、その水を口に含んで軽くすすぎます。
ただ口に含むとなると衛生面が気になってしまいますよね。衛生面が気になる場合は水を口に含まずにすすいでいるフリでも大丈夫です。大事なのはその作法を通して行うことですので、スルーするのではなくフリをしましょう。
また、この口を清める際に絶対にNGなのが柄杓を直接口につけること。この行為は無作法とされています。
柄杓に残った水で柄(持ち手)の部分を清めます。
柄杓の柄が下になるように立てて、柄に水を洗い流して清めましょう。
柄杓を清めたら、元の場所に戻します。次に使う人のことを考えて、乱雑に置かず丁寧に揃えて置きましょう。
最後に手水舎から離れる際は、最初と同じように軽く礼をしてから離れましょう。
手水舎においての作法は以上の通りです。
今までは上記の手順で行われていた手水ですが、最近は新型コロナウイルスの感染拡大防止の影響で手水舎が使用できないところが多くなってしまいました。
ただ、そのまま使用されなくなって終わり…という訳でもなく、使わなくなった手水舎を花々で飾る「花手水」という文化が広がったようです。
SNS映えする写真が撮れるということで全国的に話題となった「花手水」。
実はこの花手水はコロナ禍によって新しく始まった取り組みではなく、もともと京都府長岡京市にある柳谷観音 楊谷寺(やなぎたにかんのん ようこくじ)で行われていたようです。
そんな花手水は、コロナ禍でさらに注目されるようになりました。上記でも書いたように新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環として、多くの寺社では不特定多数の人たちが使用する手水を中止せざるを得なくなってしまいました。
この手水の中止をきっかけに、使わなくなった手水舎に花を飾るという行いが、全国の寺社へと広まっていったようです。花手水はSNSによって拡散され、フラワーアートの一つとして認知されていきました。
手水舎の読み方や作法の手順、そして「花手水」について紹介しました。
コロナ禍になってからというもの、手水がアルコール消毒という形になってしまい、手水という作法ができない寂しさがありましたが、少しでも参拝者を喜ばせようとする「花手水」の取り組みが素晴らしいと思いました。
筆者も2021年の6月に鶴岡八幡宮へ参拝に行った際に、紫陽花の花手水を見たことがあります。参拝目的だったので、花手水についてはそのとき初めて知ったのですが、綺麗なものだったので気分が良くなったのを覚えています。
コロナ禍が終息してもこの花手水の文化は残り続けてほしいですね。